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2023.10.06歯科BLOG

虫歯を防ぐ最新の予防情報

虫歯を防ぐ最新の予防情報を紹介

甘いものが好きな人は多くいます。「寝る前にしっかり歯を磨けば、虫歯にはならない」と思っていませんか?「砂糖を摂取するとなぜ虫歯になるか?」からひもとき、虫歯になる本当の原因と、虫歯予防の最新情報を紹介いたします。


甘いものを食べた後、口の中で起きていること

食後の歯を磨く習慣は子どもの頃から言われ続けてきたことなので、ほとんどの方が実践されていると思います。しかし、歯を磨けばそれで虫歯リスクがなくなり、安心できるのでしょうか?

世界保健機関(WHO)のホームページによると、12歳児の虫歯経験指数は、予防歯科の先進国であるデンマークが0.4本(2014年)に対し、日本は1.4本(2011年)で3.5倍も多いことがわかりました。なぜ、ここまで差があるのか考えてみると、虫歯予防に対する知識の違いがあるのではないでしょうか?

砂糖の主成分であるスクロースという糖類は、口内の細菌が分解して「酸」を排出します。その結果、口腔内は弱酸性から中性(pH6.8)から酸性に傾いてしまします。歯の表面を覆い虫歯から守っているエナメル質は、「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれるリン酸カルシウムでできていて、pH5.5以下になるとイオン化し唾液中に溶け出してしまいます。砂糖を入れた口内はpH5以下になるので、ハイドロキシアパタイトが溶け出し、一時的に表面が初期の虫歯状態(脱灰)になります。

しかし、ハイドロキシアパタイトが溶け出したからといって、そのまま虫歯になるわけではありません。唾液に含まれている重炭酸塩がが、口内のpHに変化が起きたとき、正常なpHに戻そうと対抗する力(緩衝能)を持っています。重炭酸塩の力によって、食後2~3時間かけてpHが中性に戻り、脱灰した歯の表面は唾液中のリン酸イオンとカルシウムイオンを取り入れ(再石灰化)修復されます。

口腔内のpHのバランスを保ち、脱灰と再石灰化を繰り返していれば虫歯になりません。しかし、バランスがくずれ酸性状態が続くと本格的な虫歯に移行してしまいます。このバランスをよく崩しやすいのが、おやつなどを食べる間食です。間食をすると、食事で酸性になった状態を中性に戻そうとしている途中でまた酸性へ逆戻りし、歯が修復するチャンスをなくします。修復できない状態が何度も繰り返すと、虫歯に至ってしまいます。


夜に甘いものを食べるのはおすすめできません

寝る前に甘い物を食べたい気持ちは共感できますが、虫歯になるリスクが高くなってしまいます。寝ている間は歯の救世主である唾液の量が急激に減ってしまうからです。健康な人で1日1~1.5Lの唾液が分泌され、日中は平均19ml/時の分泌ですが、寝ている間は平均2ml/時まで減少します。普段、口を開けて寝ている方は、よりお口の中が乾燥しやい状態になります。

寝る前に甘いものを食べると口の中のpHが酸性になったままで、歯からカルシウムが奪われる状態が数時間以上続きます。たとえ歯を磨いても唾液の作用が働かなければ、口の中は酸性の状態のまま改善しません。歯の汚れが残ったまま寝てしまった場合、虫歯になるリスクが高くなることは容易に想像ができます。


砂糖が入っていなくても虫歯の原因になる

砂糖不使用」と表示されている食べ物であれば、虫歯リスクはないのでしょうか?厚生労働省は、「糖類の含有量が0.5g/100ml以下」の食品に、この表示ができるとしています。ここでの糖類はスクロースだけではなく、マルトース(麦芽糖)やグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)なども含みます。確かに0.5g/100ml以下なら、糖類の含有量は少ないですが、虫歯リスクがゼロになったわけではありません。また、対象となっていないオリゴ糖や多糖に分類される糖類が含まれている可能性があり、いずれも虫歯の原因となります。

砂糖が含まれているものは全般的に虫歯の原因になります。それなら、甘い物を食べなければ虫歯にならないのでしょうか?実は、飯やうどん、パンも虫歯の原因にはなります。これらの主成分であるデンプンは、唾液中の酵素(アミラーゼ)が分解し、マルトースやグルコースに変え、スクロースと同様に口内を酸性に傾かせます。くだものに含まれるフルクトース(果糖)も同じで、砂糖のスクロースほど酸性にする力が強くないにしても、ほとんどの食べ物が虫歯を起こす原因になり得ます。


虫歯予防は「食生活」が大切

虫歯の原因となる細菌を全て口の中から取り除くことはできません。虫歯菌と共存しながら虫歯予防をするには、食生活の管理が重要になります。先ほど述べたように頻繁に間食すると、歯の表面が溶け出した状態(脱灰)から修復(再石灰化)するチャンスを失います。つまり、虫歯予防のためには、間食をダラダラせずに時間を決めて短い時間で食べ切り、食後に歯を磨き、細菌が酸を産出しにくい状態を長い時間を維持することが大切です。砂糖を含んだ食べ物の摂取量が多いと虫歯になりやすいと思われがちですが、「量」より「時間」に気をつける方が虫歯予防になります。

 

監修

あんどう歯科・美容皮フ科

歯科医師 安藤雄基


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