TOPICS
新着情報
歯科BLOG
セラミックが外れた!5つの原因と7つの正しい対応策
セラミックが外れる原因とは?審美歯科医が解説
「あれ?何か違和感がある・・・」
食事中や何気ない日常の中で、突然セラミックの被せ物や詰め物が外れてしまった経験はありませんか?せっかく時間とお金をかけて治療したのに、外れてしまうとショックですよね。
セラミック治療は審美性と機能性を兼ね備えた優れた治療法です。金属を使わないため金属アレルギーの心配もなく、自然な見た目を実現できることから多くの方に選ばれています。しかし、どんなに高品質なセラミックでも、様々な要因によって外れてしまうことがあるのです。
私は歯科医師として多くの審美歯科治療を行ってきましたが、セラミックが外れる原因は一つではありません。この記事では、セラミックが外れる5つの主な原因と、もし外れてしまった場合の7つの正しい対応策について詳しく解説します。
適切な知識を持っておくことで、万が一の事態にも慌てずに対処できるようになりますよ。

セラミックが外れる5つの主な原因
セラミックは通常、専用の接着剤(セメント)を使って歯に装着されます。しかし、様々な要因によってこの接着が弱まり、外れてしまうことがあります。
まず知っておきたいのは、セラミックは基本的に「外れにくい」という特性を持っています。金属やプラスチックの詰め物・被せ物と比較して、歯との接着力が強いからです。
それでも外れてしまう場合には、以下の5つの原因が考えられます。
1. 二次カリエス(虫歯の再発)
セラミックが外れる最も多い原因は、実は「二次カリエス」と呼ばれる虫歯の再発です。
セラミックと歯の間にはわずかな隙間が生じることがあり、そこから虫歯菌が侵入して内部で虫歯が進行することがあります。虫歯によって土台となる歯が溶けると、セラミックが合わなくなり、浮き上がったり外れたりしてしまうのです。
セラミック自体は虫歯になりませんが、土台となる天然の歯は虫歯のリスクを抱えています。日々のブラッシングが不十分だと、この二次カリエスのリスクが高まります。
2. 噛み合わせの問題
噛み合わせが強すぎたり、バランスが悪かったりすると、セラミックに過度な負担がかかることがあります。
セラミックをセットした直後は問題なくても、年月が経つにつれて自然の歯が少しずつすり減ることで、噛み合わせのバランスが崩れていくことがあります。その結果、特定の部分に負担が集中し、セラミックが外れる原因となるのです。
また、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、セラミックに想像以上の力がかかり続けるため、外れるリスクが高まります。
3. 接着剤(セメント)の劣化
セラミックの接着に使用するセメントは、年数が経つと少しずつ劣化していきます。
毎日の食事や飲み物、唾液などの影響を受け続けることで、セメントが徐々に溶け出したり劣化したりします。その結果、接着力が弱まり、セラミックが外れやすくなるのです。
特に、装着から5年以上経過したセラミックは、セメントの劣化による外れが増える傾向にあります。
4. 強い衝撃や硬いものを噛んだ場合
セラミックは強度が高い素材ですが、過度な衝撃には弱いこともあります。
硬いせんべいやナッツ類を噛んだり、骨付き肉を前歯で噛み切ろうとしたりすると、強い力がセラミックにかかります。また、スポーツ中の事故や転倒などで顔面に衝撃を受けた場合も、セラミックが外れる原因になることがあります。
このような突発的な強い力は、どんなに高品質なセラミックでも耐えられないことがあるのです。
5. 歯科医院での技術的問題
残念ながら、歯科医院での技術的な問題がセラミックが外れる原因になることもあります。
歯を削る形成が不適切だったり、セメントの扱いに問題があったりすると、セラミックの接着力が十分に発揮されません。また、装着時の防湿(唾液や湿気を防ぐこと)が不十分だと、接着力が弱まることもあります。
こうした技術的な問題は、何度再接着してもすぐに外れてしまう原因となります。

セラミックが外れた場合の7つの正しい対応策
セラミックが外れてしまった場合、適切に対応することが大切です。焦って間違った対処をすると、さらなるトラブルを招くことがあります。
以下の7つの対応策を知っておくと、万が一の事態に慌てずに済みます。
1. 外れたセラミックを保管する
セラミックが外れたら、まず大切なのは外れたセラミックをなくさないことです。
外れたセラミックは清潔な容器に入れて保管しましょう。ティッシュに包むだけだと紛失する可能性があるので、小さなケースや薬のケースなどに入れるのがおすすめです。
外れたセラミックは、状態によっては再利用できる可能性があります。特に、最近装着したものであれば、再利用できる確率が高くなります。
2. 自分で戻さない
絶対にしてはいけないのが、ご自身でセラミックを元に戻そうとすることです。
市販の接着剤を使って自分で戻そうとする方もいますが、これは非常に危険です。接着剤が口腔内に残ると健康被害を引き起こす可能性があります。また、正しい位置に戻せず、噛み合わせが悪くなることもあります。
特に就寝中は、誤って外れたセラミックを飲み込んでしまう危険性があるため、自己判断での再装着は絶対に避けてください。
3. 速やかに歯科医院に連絡する
セラミックが外れたら、できるだけ早く歯科医院に連絡しましょう。
多くの歯科医院では、このような緊急事態に対応するための時間を設けています。まずは電話で状況を説明し、適切な対応方法や来院のタイミングについてアドバイスを受けましょう。
「痛みがないから大丈夫」と放置すると、土台の歯が虫歯になったり、周囲の歯が移動して元の位置にセラミックが戻せなくなったりする可能性があります。
4. 露出した歯を保護する
セラミックが外れると、削られた歯の表面が露出します。この状態では温度変化や刺激に敏感になることがあります。
歯科医院に行くまでの間、露出した歯を保護するために、以下の点に注意しましょう:
- 冷たい飲み物や熱い飲み物を避ける
- 露出した歯で硬いものを噛まない
- 甘いものや酸性の強い食べ物・飲み物を控える
- 露出した部分を舌や指で頻繁に触らない
薬局で販売されている仮封材(テンポラリーストッピング)を使用すると、一時的に露出した歯を保護できることもあります。
5. 食事や歯磨きに注意する
セラミックが外れた状態では、食事や歯磨きの際に特に注意が必要です。
食事の際は、できるだけ外れた部分の反対側で噛むようにしましょう。また、歯磨きの際は露出した歯に対して優しくブラッシングし、刺激を与えないよう注意が必要です。
ただし、露出した歯もしっかり清潔に保つことが重要です。歯ブラシが当てづらい場合は、歯間ブラシやデンタルフロスを使って丁寧に清掃しましょう。
6. 痛みがある場合の対処法
セラミックが外れた後に痛みがある場合は、以下の対処法を試してみましょう:
- 市販の鎮痛剤(イブプロフェンなど)を服用する
- 冷たい飲み物や熱い飲み物を避ける
- 露出した部分に直接刺激を与えない
- 痛みが強い場合は、早急に歯科医院を受診する
痛みが強い場合は、単なるセラミックの脱離だけでなく、虫歯や歯の亀裂など他の問題が隠れている可能性もあります。我慢せずに歯科医師の診察を受けることが大切です。
7. 再装着後のケアと予防策
セラミックを再装着した後は、再び外れないようにケアと予防が重要です。
まず、歯科医師の指示に従い、接着剤が完全に硬化するまでは硬いものを噛まないようにしましょう。また、定期的なメンテナンスを受けることで、セラミックの状態や噛み合わせをチェックし、問題を早期に発見することができます。
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、ナイトガード(マウスピース)の使用を検討するのも良いでしょう。

セラミックを長持ちさせるためのポイント
せっかく装着したセラミックを長く美しく保つためには、日頃のケアが欠かせません。
セラミックの寿命は、適切なケアを行えば10年以上持つことも珍しくありません。中には20年以上問題なく使用されている方もいらっしゃいます。
以下のポイントを押さえて、セラミックを長持ちさせましょう。
1. 定期的なメンテナンスを受ける
セラミック治療後も、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることが重要です。
プロフェッショナルクリーニングで取り除ける汚れもありますし、セラミックの状態や噛み合わせのチェック、二次カリエスの早期発見にもつながります。半年に1回程度の定期検診をお勧めします。
特に噛み合わせは時間とともに変化するため、定期的なチェックと調整が必要です。
2. 正しい歯磨き習慣を身につける
セラミックの周囲は特に丁寧に磨くことが大切です。
セラミックと歯の境目は汚れが溜まりやすく、二次カリエスのリスクが高まります。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、セラミックの周囲をしっかり清掃しましょう。
ただし、硬すぎる歯ブラシや研磨剤の強い歯磨き粉は、セラミックの表面を傷つける可能性があるので注意が必要です。
3. 硬いものを噛む習慣を改める
セラミックは強度が高いものの、過度な力には弱いことがあります。
氷を噛む習慣や、硬い食べ物をセラミックの部分で噛み切る癖がある方は、その習慣を見直しましょう。特に前歯のセラミックは、横からの力に弱いため注意が必要です。
硬い食べ物は小さく切って奥歯で噛むようにすると、セラミックへの負担を減らすことができます。
4. 歯ぎしり・食いしばり対策を行う
無意識の歯ぎしりや食いしばりは、セラミックに大きな負担をかけます。
就寝中の歯ぎしりがある方は、ナイトガード(マウスピース)の使用をお勧めします。ナイトガードは歯科医院で作製できますので、気になる方はご相談ください。
また、日中の食いしばりに気づいたら、意識的に顎の力を抜く習慣をつけることも大切です。
まとめ:セラミックが外れたときの正しい対応
セラミックが外れることは、決して珍しいことではありません。しかし、適切な知識と対応があれば、大きなトラブルを防ぐことができます。
セラミックが外れる主な原因は、二次カリエス、噛み合わせの問題、接着剤の劣化、強い衝撃、そして歯科医院での技術的問題の5つです。
もしセラミックが外れてしまったら、以下の7つの対応策を心がけましょう:
- 外れたセラミックを清潔に保管する
- 自分で戻さない
- 速やかに歯科医院に連絡する
- 露出した歯を保護する
- 食事や歯磨きに注意する
- 痛みがある場合は適切に対処する
- 再装着後のケアと予防策を実践する
そして、セラミックを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンス、正しい歯磨き習慣、硬いものを噛む習慣の改善、歯ぎしり・食いしばり対策が重要です。
セラミック治療は、適切なケアと定期的なメンテナンスによって、その美しさと機能を長く保つことができます。何か不安なことがあれば、ぜひ当院にご相談ください。
あなたの健康と美しい笑顔を、私たちあんどう歯科・美容皮フ科は全力でサポートいたします。
詳しい情報や治療についてのご相談は、ぜひあんどう歯科・美容皮フ科までお気軽にお問い合わせください。
<記事監修>

安藤雄基(歯科医師)
〒466-0014
愛知県名古屋市昭和区東畑町1丁目40−9
平成25年3月 愛知学院大学歯学部卒業
平成25年4月 岐阜県立多治見病院研修医(歯科)
平成27年6月 東海市 小島歯科室 勤務
平成29年6月 名古屋市緑区 オレンジ歯科クリニック 勤務
令和 2年7月 名古屋市中川区 おしむら歯科・こども矯正歯科クリニック 勤務